気がついたら

暗い道を歩いていた



深い森の中



両手に広がる森は 蒼く光り

道は端だけがベージュに光る

咲き誇る薔薇が赤く光り

はたはたと舞う蝶は紫色の光りを放っている



そんな森を歩いていた



いつからここを歩いているんだろう

いつまでこの森は続いているんだろう


見上げる空は暗く

銀色の月だけがぽっかりと浮かんでいる



静かな静かな森



どこまでも続く森

ここは一体どこだろう

わたしの名前は――なんだったろう





静かな森に ひとつの歌声

透明で 儚げで 綺麗な歌



それは 恋の歌



歌につられたように一羽の白い鳥が飛び立った

落ちてくる羽根が

雪のように綺麗



そうだ



あの鳥のように飛べたらいいのにと

幼い頃 何度も思った

人魚のように歌い

天使のように舞い

妖精のように儚い存在になりたかった




歩いても歩いても続く神秘的な森

そうだわ

この森に名前を付けましょう




歌 恋 憧 羽